wee-jay

瞑想(迷走)中です。

OPQ/Gazing

ケーブルTVのヒストリーチャンネルで放送してるアメリカのお宝探しの番組面白いですね。19~20Cのヴィンテージなガラクタの中から価値のあるものを買い取るというものですが、それにしてもMADE IN USAのモノは大量生産の中から生まれた機能美と造形美が良いです。『Lightning』みたいな雑誌が好きな人は嵌ると思いますので是非観てみて下さい。


images 4 
Gazing
ハンドメイドっぽいエフェクター類やテープ、その他自作楽器や改造されてそうな楽器、おもちゃの楽器以外のモノまでこういうの好きな人には胸熱なジャケット写真なので、その場の勢いでジャケ買いしたら内容もとても良かったOPQというユニットの3インチアルバムです。経験上僕がジャケ買いしても内容も気に入るってパターンはあまりないのですがこのCDは良かった。amazonで取り扱ってますが画像はなかったのでよそから拾ってきました。

それでこのOPQというユニットは
Takafumi Suzaki:handmade & modified insts,guitar,casio keys,etc.
Aritan-bo:voice,guitar,modified calculator & toys,painting,etc.
の二人のデュオで、使ってる楽器も上のジャケット写真のようなセットであると思う。故にテープコラージュやエフェクトを駆使した実験的な音作りに加えて、キーボードやギターあるいはおもちゃをかちゃかちゃ鳴らす人力的な部分が同居した音作りになっている。そうして生まれてきた音は製法からして実験的なノイズ演奏かと思いきや、実際はポップで可愛らしいインストで、且つ情緒溢れるエレクトロニカといった感じ。21分とちょっと短いですが本当に愛らしいまさにおもちゃ箱がひっくり返ったような作品です。

そんなGazingですが、その内容は2009年から2010年の間に録音された長くても1分程のショートトラックが21分1トラックの中に無数に羅列されているというもの。グラインドコアみたいに連続で押し寄せるのではなく、トラック間はmixで繋げたり、続けてかけたり、あるいは余白が取ってあって、展開はせわしないけどどこかゆったり聴けるように作ってある。学校のチャイムのSE音で始まったと思えば、ピコピコ電子音が浮かび上がってきて四方に乱れ飛ぶ。すると急に持続音に切り替わったり、かと思うと声を加工したりカットアップしたトラックに移っていく。複雑にプログラミングされてるようなエレクトロニカ(これはどうやって作ってるんだろう)から、緩やかなアコギや水の撥ねる音のようにピシャンと短く叩かれるキーボードや電子音によるアンビエントトラック、祭りの掛け声や駅のアナウンスと蝉の鳴き声といった遊び心のあるSE音、おとぎ話のようにおもちゃ楽器が遊んでたり、雨の音のような穏やかなノイズの上をうっすらボイスがやわらかいトラックまで多種多様。しかしすべての音素材で共通してるのは、繊細で美しくよく作りこまれているということ。それが自作楽器やおもちゃなどから作られているということが凄いです。非常に聴きやすいインスト作品なので広くオススメします。

動画

このように卓物中心でも視覚に映えるので一度ライブを見てみたいです。
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  1. 2013/01/27(日) 22:12:38|
  2. music
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  4. | コメント:0

坂田明 & Jim O'Rourke with Chikamorachi/And That's The Story of Jazz...

インフルエンザにかかって死んでました。

1月下旬がピークなのだそうで皆さん体の方をご自愛ください。

それはさておき

坂田明 & Jim O'Rourke with Chikamorachi/And That's The Story of Jazz...

坂田明(Alto Saxophone,Vocals)
Jim O'Rourke(Guitar,Harmonica,Electronics)
Darin Gray(Double Bass,Percussion,Bells)
Chris Corsano(Drums)

日本を代表するフリージャズサックス奏者の坂田明とこのブログでは何度も取り上げたJim O'Rourke、それにベース&ドラムのデュオのちかもらち(Darin Gray & Chris Corsano)のカルテットによる2008年の地方都市での2枚組ライブ盤です。ジム・オルークとダーリン・グレイ、クリス・コルサノの三者は『恐山』という凄い名前のバンドを組んでおり、彼らのアルバムはうちのブログでも過去に書いていたりします。そこでも壮絶な演奏が繰り広げられてましたが、今回はそこに坂田明さんがプラスされていると思っていただけたら分かりやすい、んだけど・・・「+」という表現よりも、「×」のほうが的を得てる。坂田さんが加わることで恐山よりも更にジャズっぽく、演奏の熱量と繊細さは恐山のときをはるかに超えていると言える。間違いなくとんでもない化学反応を引き起こした怪盤です。

それでは内容を見ていく

Disc 1は京都での演奏と、岩手県は花巻での演奏の二つが収録されている。何というか、音楽の喜怒哀楽といったものがこのディスク1枚にすべて凝縮されてるような・・・聴いててさまざまな感情を抱きます。

CDでは京都→花巻の順だが、まず花巻から。

#2,『花巻』は大まかに前半と後半で二つの展開に分けることができる。前半はドラム→ALL→ギター→ギター+ドラム→ALLと編成を細かく入れ替えながら進行していく。高音を撒き散らすアルトサックス、痙攣しひしゃげるノイズギター、相変わらず水平にタムを転がし手数多く迫るドラムス、これらの轟音の中一発で切り込む万力ベース。これがこのバンドの基本的なサウンドでその正体は轟音のパワーフリー。
しかし、この土地では後半で意外な展開を見せる。上記の続きは、坂田明の無伴奏ソロに入っていくのだけど、いかにもフリーな音がひっくり返ったり巻き上げるように吹きまわしたりするわけど、次第にその様相が変わっていくのがわかる。徐々に日本的なフレーズが耳につくようになって来て、次第に童謡のようなノスタルジックなメロディをやはり即興で紡いでいく。坂田さんは別のところで『平家物語』の朗読や演奏をやられている方だし、日本の古い歌や物語に日常から触れているのだと思う。まるで黒人のミュージシャンがブルースフィーリングを秘めるように、坂田さんのプレイにもそういった日本的なフィーリングが滲み出ているのかな。決してうわべのものではなく、芯からそういうものを愛していることがわかる。途中、サックスを置いて、物語を語りだすところがある。

松島

前は海 後ろは山

大漁と思った瞬間に油断が

命のありがたさが分からんと

当然もっと長いですが恐らく宮城県の沿岸部のことを呻ったり囁いたりして語る。しかし重たいわけではなくむしろ面白みを感じる、人柄溢れる音楽家なんだなぁとしみじみ思う。
それに恐山の3人は歪みの無いギターやベース、あるいはエレクトロニクス、ハーモニカ、ベルやパーカッションといった小道具で物語を想起させる繊細で美しい背景を描いていく。何というか・・・彼らにこういうことやらせたら本当にうまい。そして再びアルトを吹き穏やかに25分の旅は幕を閉じる。本当に名演としか言いようが無い素晴しいセッションです。

#1,『京都』は坂田さんの無伴奏サックスソロで開幕する。次第にベースの弓弾きとドラムが静かに入り、やがてギターが背景のように自然且つノイジーに入ってくる。そこからは編成をいろいろ入れ替えながら進行していく。そのうちにアルトの無伴奏に入るとすぐさまギターがサックスの音の隙間に切り込んできて、激しく音をぶつけ合いながら絡みつく。オルークのギターが持続音を作り始めるところから様相が変わっていき、間を取った心の琴線に触れる哀愁漂う美しい旋律を恐山の面々が作っていく。その上を自由の鳥のように色鮮やかに飛び回るアルトの音色、ここでも心にぐっとくる旋律を次から次へと紡いでいく坂田さんが本当に凄い。いくら京都だからってこんなの演奏しちゃうと見に行ってた人は泣いちゃうんじゃないでしょうか。僕なら絶対泣いてると思う。
それにしても、このジャンルにもっと早く目覚めてたら間違いなく聴きに行ってたな。惜しいです。


Disc 1にかなり割いたのでDisc 2は短めにあっさりと

二枚目は愛知県名古屋での演奏3トラックが収録。名古屋といえば派手というか華やかなイメージがありますが、ここでの演奏についてもいい得て妙、1曲目の後半以外はほぼパワーフリーで埋め尽くされてる轟音狂歓喜のセットになっている。特にこのディスクでのオルークはかつて無いくらいヤバいギタープレイを堪能できる。

#『名古屋 1』では前半部は爆音で突き進む展開。後半部は間の取った演奏になるのだけどオルークのギターが面白い。恐らくギターを弓弾きしてるのだと思う。Scorch TrioのRaoul Bjorkenheimがギターを弓で弾くことがあるけどあれほどノイジーなわけでもなく、インプロの一要因としてサウンドを形作っている。

#『名古屋 2』はアルトの短い無伴奏ソロの後、10分間の高速なジャムへ雪崩れ込む。巻き上げるアルトに地響きのようなリズム。テンションが一切落ちることなく、むしろ後半に行くにつれ加速していくような怒涛の演奏。

#『名古屋 3』は何といってもオルークが主役の一曲。ブラシワークの上を伸びやかに飛翔するアルトサックス、そこに徐々に高揚していくリズミカルなギターが加わりサウンドを形成する。途中ギタードローンを挟んでクライマックスへ。ここでのオルークのギターは他ではあまり無いほど猛り狂ったギタープレイを聴ける。テンションが限界寸前まで達したところで唐突に終了し拍手が聞こえる。しかし物凄いでこの人ら・・・


最後に触れるべきかどうか迷ったけど、このCDは、東日本大震災により発生した津波にのみこまれて行方不明になった坂田さんの友人に捧げられています。僕は西日本に住んでいるのであの日はちょっと揺れを感じただけだったのですが、震災は本当にいろんなものを人から奪っていったんだなと改めて感じました。いくら自然災害だから防ぎよう無いって言っても、それは被害を受けてない人や大切な人やものを失わなかった人の言葉でしかない。やはりどう考えても悲しい。もうすぐ震災から2年になるけど、本当に一日でも早い復興を祈ってる。僕もできることをやろう。

動画
全員がいる動画は無かったので短いですがこれだけ

坂田明+ちかもらち 最後音でかいのでご注意ください。
  1. 2013/01/18(金) 19:57:06|
  2. music
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  4. | コメント:0

Billie Holiday/Lady in Satin

いやーあけましておめでとうございます!!今年もいろいろ書いていくと思うのでよろしくお願いします。

あと、当ブログは本日で一周年ということになります(一度移転してますが)。いつも有難う御座います。


2013年一発目の音源は、実はブログ立ち上げのときに一発目に書いた音源なのですが、移転する際に誤って消してしまったために書き直したものです。今、僕のブログをいつも読んでくださる方には「えっ?」となるかもしれません。こいつこんなのも聴いてるのかとお思いになる方もいるかもしれませんが、僕は昔ジャズ人間でして、ストレート・アヘッドなジャズばかり聴いていた時期があります。これはそのときに出会った一枚なんです。

僕はここ4年新年の一発目に聴くアルバムは必ずこれと決めていて、今年も例の通り一番最初に聴きました(余談ですが、今僕の後ろではOriginal SilenceのSecond Original Silenceが流れています)。このアルバム、それはまぁ頻繁に聴くと言う類のものではありません。しかし、年始めにこれを聴くことで、いい一年にしようとか、また来年の始めこれを聴けるようにとか不思議な意欲が沸いてくる僕にとってはいまだ特別なアルバムなのです。

その意欲(結果に結びつくとは限らないが、まぁ大切なものだ。)はどこから沸いてくるのか、確かなところは僕にもよく分からない。ただ一つ言えるのは、ビリー・ホリデイの歌唱には、人生が乗っているということである。もともとナチュラルに軽やかにスウィングする歌唱が持ち味であるが、同時に若い頃から何か独特な湿り気や重さを感じることができる。その湿り気や重さがどこから来るのか考えたとき、元来彼女が持つ声質もさることながら、色んな人が指摘するとおりやはり彼女が送ってきた人生に由来するのではないかと考えることがある。彼女がどのような苦難に満ちて命をすり減らして来たかについては、wikipediaで検索するなり自伝を読むかして頂きたいと思う。彼女の人生はごく控えめに表現しても、決して穏やかなものではなかったし、このアルバムが録音された晩年においては、彼女の声域のレンジは狭くなって、声も酒とドラッグによって擦れて若い頃ほど声が出てない。しかし晩年になればなるほど彼女の歌には今まで過ごしてきた人生の経験が乗り移り、声が発せられるときにその欠片が僕たちの耳に零れ落ちる。一曲目、ビリーが「I'm a fool to want you 」と歌うだけでもう耳が離せなくなる。何と言うか、このアルバムでは「私はこんなでも歌ってるんだから、あんたも頑張りなさいな」と歌いながら心に語りかけてくれる感覚があるんですよね。これが不思議な意欲を沸き立たせる源泉なのかもしれませんね。

バックでは感動的なストリングスがビリーを後押ししてます。しかし、去年同じ記事を書いたときバックでマル・ウォルドロンやハンク・ジョーンズがピアノを弾いてるとか、マイルスやJJ・ジョンソンがソロを取っていたりとか様々な事を書きましたが、もうシンプルにこのアルバムではビリー・ホリデイの「歌」を聴いてほしい。これに尽きる。彼女の晩年には彼女より上手く歌えるシンガーはたくさんいた。しかし彼女ほど真の意味で「ソウルフル」なシンガーはいないのではないでしょうか。彼女のような人はもう現れないでしょう。



  1. 2013/01/01(火) 22:32:09|
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