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ジョージ・オーウェル/動物農場

                   
              動物農場 (角川文庫)/ジョージ・オーウェル

『人間たちにいいようにされている農場の動物たちが反乱を起こした。老豚をリーダーにした動物たちは、人間を追放し、「すべての動物が平等な」理想社会を建設する。しかし、指導者となった豚たちは権力をほしいままにし、動物たちは前よりもひどい生活に苦しむことになる・・・。ロシア革命を風刺し、社会主義的ファシズムを痛撃する20世紀のイソップ物語。』


本について何かを書くとき、本の内容のネタバレをしないようにしないようにと苦心しています。とはいっても以前エッセイを二冊取り上げたのですが、そのときはそんなプレッシャーは感じなかったし、漫画を扱ったときでも前もってネタバレありますと予告しておいたので変なプレッシャーは感じなく書いてました。ところが今回のように小説となると、その部分は非常にデリケートになってしまわざるを得ない気がします。漫画と同じように但し書きで注意しておいたらいいのですが、小説に関しては個人的にそういうことをしたくないという気持ちがあります。前段落の文章は角川版『動物農場』の裏表紙に書いてある紹介文の引用です。「誰でも本を買うときにはここを見るだろ」というまことに勝手な推測で、これを引用することを本の内容説明(つまりネタバレ)にかえてしまおうという魂胆です。
さて、その引用を読んだだけで今このブログを読んでくれてる人も少しこの小説に対して興味が沸いてくると思うのですがどうでしょうか。上の引用だけでも小説の説明には的を得ています。そう、今日書いていくのはイギリスの小説家ジョージ・オーウェルの1945年発表の寓話小説『動物農場』です。今からいろいろ書いていこうというのだが、基本的には上の引用を少し掘り下げたものになっていくと思うのでご了承ください。

この小説は寓話という形式で動物を出して非現実的なおとぎ話を描く。しかしその本意は現実のロシア革命からスターリンの独裁政治を風刺したものである。したがって興味がある人は巻末の解説などでいろいろ調べてほしいが、登場動物とロシア革命からスターリン政治の登場人物というのは見事に呼応する。(また、登場動物の名前もその性格を端的に現している者もいる。)完全とはいえないがヒトラーのナチズムにも当てはめることはできるし、北朝鮮にも類するところもある。独裁・支配・全体主義・管理社会・・・でも、これは何も国家に限ったことではないんですよね。たとえば日本においても陸軍統制派から連合赤軍、オウム真理教まで組織内外のタテの締め付けというのは歴史的に存在します。もっと身近に、たとえば職場や学校、あるいは運動チームの先輩後輩や顧問との関係。小学生の友達グループに至るまで大なり小なり支配関係というのは存在します。そして日本では人は基本的に誰でも程度の差こそあれ組織に属しています。ということはそこにはルールと制約があり、情報の非対称性があり、少なからず「個」というものが殺されているといえます。ジョージ・オーウェルが意図したのはこういう全体主義・管理社会に対する批判と警鐘ですが、これが良いとか悪いとかの問題は別にして、こういう状況において『動物農場』はおそらく誰の心にも引っかかるところがあると思うんです。これを読んでそこでファシストの豚共を目の当たりにして何を思い出すのか、それは人それぞれ。職場を思い出すのか、学校を思い出すのか、子供の頃の思い出が蘇るのか本当に人それぞれ。でも、誰でもそういう類の何かがきっと蘇ってくるそんな小説です。ちなみに、僕が何を思い出したのかは内緒(笑)ともかく、現代の日本においてはこういう読み方が正しいと思う。そしてオーウェルの意図を汲むなら、読み取ったものは警告なのだと思えばオーウェルも喜ぶと思います。

しかしながら、僕の言いたいのはそれだけではない。単純な言葉で言うと、とっても話がミステリアスで面白いんですね。ストーリーがすごく読ませるというのもあるけど、動物が農場を経営するという非現実さがおとぎ話としてこっけいであり面白くもあるんです。「動物」が「経営」するというのはおとぎ話の世界だからですが、細部はとってもビビッドにイメージが浮かんでくる。それこそ人間並みの言動を動物がしているということがおかしくて堪らない。特に宣伝係の豚の貧しい動物たちを嘘とこじつけでで塗り固めて言いくるめる演説が幾度もあるけどその内容と身振りは本当に面白い。勿論独裁者の豚が貧しい動物を抑圧する話だからシビアな場面もある。しかしこういうことを言うと誤解があるかもしれないが、すべて含めて動物がしていることだからある種の微笑ましさみたいな何とも言えない気持ちがある。悲壮感みたいなものはそんなに感じないと言うべきか。いずれにしても、ロシア革命やスターリン批判といった背後のテーゼみたいな難しい話を抜きにして、ミステリーとして逸品の小説です。巻末の解説にあるように『ガリヴァー旅行記』みたいな読み方ができると思う。ガリヴァー旅行記はイギリスの社会や文化風刺という側面があるのは有名ですが、ガリヴァー旅行記の一遍を元ネタにしたもので日本ではスタジオジブリの『天空の城ラピュタ』がありますね。日本では老若男女に人気で、勿論背後に隠されたメッセージを読み取る見方もできますが、一般的には少年少女の冒険譚、勧善懲悪の「物語」として受け取ることができる。『動物農場』そういう見方ができるのは勿論で、肩の力を抜いてゆるりと読んでいただきたい小説です。非常に読みやすいので是非どうぞ。
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  1. 2013/02/09(土) 23:10:55|
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魔法陣グルグル2 第2章 中二病でも恋がしたい第10話

本日『魔法陣グルグル2』の第二章が公開になりました。そして昨日のアニメ『中二病でも恋がしたい』の第10話が素晴らしすぎたので一緒に短い記事にしてしまいます。まぁメインはグルグルのほうなのでbookのカテゴリに放り込みました。今年のアニメについては年末に何か書いてみたいと思います。


魔法陣グルグル2 第二章

前回の第一章は記事を書いているので今回は詳しい経緯などは省略させていただきます。

前回はグルグルを使えなくなったククリの「立派な大人になるための勉強から逃れたくて、ニケと旅が出来るようになるグルグル」を無理矢理捻り出して、コーダイ国の王様にニケとお城に来るように言われたところで終わって、今回はその続きから。

今回の章を一言でまとめると、「旅支度」ということで、ニケとククリの二人だからまともな旅支度になりそうにない。ずばりその通りで、ククリは新しい魔法の杖(折れちゃってますからね)と旅のファッション(防御力の話は出ないw)の選別。感想は一言、ククリかわいい!!他人のファッションを見立てると絶望的なセンスだけど、自分の着こなしに関しては最高なんですよね。前作で帽子をかぶることはあんまりなかったけど帽子被ったら非常にかわいい。一方ニケは相変わらず変な剣とアホな服を買ってしまい、王様の御前でそれを着てさらに剣を忘れるらしさ振りw非常に二人らしい旅支度なのでした。衛藤先生は昔、アイテムは威力よりも効果の面白さを重視していると言っていて、それが今になってもぶれずにいるというのは、想像力が枯れないという意味とそのスタンスの独創性という二面の意味ですごいと思う。


中二病でも恋がしたい 第十話

この記事はツイッターに更新通知しないので検索して入ってこられる方が(いるのか?)多いと思うので、この段階で中二病でも恋がしたいってなんだ?って人はあまりいないと思います。なのでこれまでのあらすじは省略します。すごくプライベートな感想を少し。

Aパート:凸守ちゃんの表情が良かった。自分のマスターを励まして応援する気持ちと、寂しい気持ちが入り混じったいい表情だった。
そして告白へ。ここからはあまり覚えてないですwただ瀬田川を挟んで見る唐橋や石山の夜景というものは作品でも描かれたように美しく、それとメロウな曲を背景に告白しあうってのはとてもロマンチックである。雨、傘、指きりげんまん・・・とてもロマンチックだ。これ以上の言葉は見つからない。

B・Cパート:ここではいろんなフラグが立つ。まぁ後2話のお楽しみということで。六花ちゃんの父親の死・現実逃避・憧れなど様々な要因で構築された複雑な中二病を肯定することは無責任なのかそうではないのかで揺れる勇太君。六花ちゃんも現実が分かりつつも自分を守ろうとして、十花さんやお母さんも本気で心配する心。難しい問題ですね。いろんな想いが詰まったお弁当。しみじみと亡くなった父親への思いを噛みしめながら歌う坂本九の「見上げてごらん夜の星を」。弔いにも聴こえる響き。六花ちゃんは眼帯を取ってカラコンを外してしまいました。最後にどんな答えを出すのか先が気になる展開です。最後まで見守ろうと思います。

僕の地元がこのアニメの聖地なのでまた写真とか撮ってみようと思いますw


何か中二病のほうが長い文章になってしまいましたがこれで終わります。次は音楽記事を書きます。ではー。


  1. 2012/12/06(木) 18:54:22|
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衛藤ヒロユキ/魔法陣グルグル2 第1章

魔法陣グルグル…90年代に子供時代を過ごした方なら知ってる人も多いと思いますが、そうですキラキラという剣を使いネコっ毛でバンダナが好きな勇者と、その勇者と旅をする黒いローブを着たみつあみのかわいい女の子が杖で地面にグルグルっと絵を描いてユニークな魔法を使うあれです(あとキタキタとか)。

べームべームとかとかげのしっぽとか長い声のネコとか覚えてる人は多いと思うのですがどうでしょうか?
ていうか小学校の頃ノートに魔法陣描いてた人多いんじゃないでしょうか?
(あとキタキタとか覚えてる人多いんじゃないでしょうか?)

RPGの世界観(衛藤先生はかつてゲームライターをしていたほどのゲーマーで、グルグル連載前はドラクエ4コマを執筆。シュール極まりない切れきれギャグを量産してました)と衛藤先生しか書けないような独特な切り口のギャグが交わり、さらにかわいいキャラと変なオヤジを量産し、そこにメルヘン趣味と東洋の世界観やほのかなサブカルテイストを全部洗濯機に入れてぐるぐる回したようなごちゃごちゃな漫画です。衛藤先生いわく「グルグルはコマの集まり」な漫画。一こま一こま切り取っても僕にとっては宝石です。

個人的な話をお許しください。僕がグルグルに出会ったのは小学校1年生のときで(年ばれるな)、丁度グルグルの最初のアニメがやってたときです。実はアニメ版グルグルにはトラウマがありまして、この頃に今の場所に引っ越してきたのですが、テレビの搬入がアニメ最終回の時間と重なってしまい、まぁ見事に白黒画面でして大泣きしてたんですよね。それで数年後にもう一度アニメ化されたのを期にグルグルの単行本を手にしたのが始まりでした。12~3巻からラスト16巻まではリアルタイムで追えました。フィナーレが最高でしたね。それ以降、10代の僕に最も影響を及ぼしたと言っていい神聖な書物になってしまうんです。僕は今20代前半ですがグルグルを超える漫画にはまだお目にかかれておりません。というか漫画からはもうずいぶん離れてしまってるんですけど、仮にまた漫画にはまったとしてもグルグルは別格の位置に置かれて不動のものになっているでしょう。

衛藤ヒロユキ先生は魔法陣グルグル11年の連載を終えたあとは以前記事に書いた『がじぇっと』や『衛星ウサギテレビ』やいくつかの短編と『週間私のキモいペット』、そして魔法陣グルグルのスピンオフ作品でキタキタおやじが主人公の『舞勇伝キタキタ』を連載…


そして満を持して魔法陣グルグルが再起動。9年越しの復活を2012年11月1日果たしました!!
魔法陣グルグル2-漫画- ガンガンオンライン
いやもう何と言うか、とにかくむっちゃ嬉しいです。WEBマガジンということで、最新話が無料で一ヶ月限定で読めるようになってます。グルグルのことを知ってる人も知らない人も是非読んでほしいです。早速僕も読みました。

以下で簡単な感想でも…(ネタバレあるかも)
グルグルが再開するに当たって以前からの読者が気になるところというのは、
①時間軸
②ニケの呼称
③ククリの容姿(絵柄)
といったところでしょうか。
①の時間軸に関しては魔王ギリが封印されて2週間後(笑)の世界で、時間軸は一期魔法陣グルグルと舞勇伝キタキタの間と思われます。キタキタの時間軸とどう関わるのか気になりますが、設定はあまり気にせず読むのがいいと思いますね。
②に関しては…まぁ読んでくださいと言えばいいでしょうが、ククリは変わらないですねぇ。実に照れ屋さんでして「ニケ君」と呼ぼうにも恥ずかしくて以前のように「勇者様」と呼んでたり、詰まりながら「ニケ君」と呼んでたり呼称は安定してないですね。でもそれが今回の一話の重要(?)なファクターになってたり…
③これは僕が今回非常に驚いたことです。ククリがみつあみじゃない!!!以前修行編のときに髪を切ったことはありますが、今回の髪型変更は以前のそれとはまったく意味が違います。まだ確かな言葉にすることはできないけど、みつあみを解く=ひとつの時代(グルグル1の時代)が終わっているという事実を読者に提示するものではないでしょうか。グルグル2だから1が終わっているのは当たり前のことなんだけど、16巻の最後のコマで時間が止まってたので、また動き出した時間にたいして呆然としてしまうのです。4ページのククリもう10回くらい見て愕然としています。
絵柄は、舞勇伝キタキタのをそのまま引き継いだくらいの絵柄です。衛藤先生は頻繁に絵が変わる漫画家なので、どの時期の絵柄が好きか好みで分かれるのですが、よく見てるとグルグル後期のような感じもしてきます。個人的には衛藤先生のどの絵柄にも良いところがあるので、「この頃の絵がいい!」っていうのはないです。

まぁ再びニケとククリの冒険は始まるようです。一話は導入部分のお話でしたがとても期待の持てる感じで非常に良かったです。ギャグも相変わらずでキタキタにはあまりなかったクサい部分も早速ありましたし、どっからどう見ても魔法陣グルグルは魔法陣グルグルでした。早速次の話が読みたいです。

毎月感想を書いていくかもしれません。よろしくお願いします。



  1. 2012/11/01(木) 01:39:16|
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ヘミングウェイの流儀

ヘミングウェイの流儀

多分一年くらい前でしょうか…ファッション誌『2nd』が「ヘミングウェイ特集」と冠して、彼の愛用していた品々とそれと類似した(もしくは同じ)商品を大きく掲載したんですね。それも含めてファッション業界でにわかにヘミングウェイがファッションのアイコンとして祭り上げられてるような気がしまして。それは何故かという答えを探す必要があるんですね。どんな物事にも因果関係があるものです。

そこで今日取り上げるのは書籍で『ヘミングウェイの流儀』という本なんですね。この本はアーネスト・ヘミングウェイというアメリカの大作家のライフスタイルを洗い晒し掲載しているもので、例えばブーツ、ジャケット、スーツなどの洋服類。加えて万年筆、ナイフ、本、絵画、レコードといった日用品や嗜好品などを沢山紹介しています。僕の読んだヘミングウェイの小説は、『老人と海』『日はまた昇る』『キリマンジャロの雪』くらいなもので、あまり読み込んだ作家とはいえないですが取り上げることにしました。

彼の物選びの基準とは、例えば「動きやすいもの」、「頑丈で長く使えるもの」、「余計な装飾のないもの」であり、具体的アイテムを少し挙げとくと、マッキーノコート、LL BEANのBeanブーツ、Brooks Brothersの一型スーツ、ミリタリーウェア、CONVERSEのジャックパーセルなど… 今でこそかなりの知名度を誇り、皆に愛用されているものですが彼の生きた時代はその登場をリアルタイムで体感してた時代。それらを彼はいち早く取り入れ、年月をかけて淘汰されるものはされていき、この本に載ってるものが残ったのです。

しかし、上の物選びの基準を見てると、ヘミングウェイは今のファッションとは真逆の思考法をしているのではないだろうか。おしゃれは我慢とよく言うし、服は流行を過ぎれば着なくなるし、やたら派手なデザインの服は多いし… なぜヘミングウェイの服飾術がいま注目されてるのがだろう。

それは2ndという雑誌の嗜好上、彼の着てる服と推したい服が適合しているという理由もある。確かにそういえばそうである。しかし、どうもつまらない。雑誌の印象操作に引っかかってるだけではないのか。

しかし僕はヘミングウェイが一般的な視点で今注目すべきアイコンであるという思いは変わらない。それは何故か。答えは不況だから。みんな以前ほどお金を使わない、使えない。だから頑丈なものを永く愛用している方が経済的だと思う。余計な装飾がないほうが飽きが来ない。普遍的なもの、それを求めるというのがこれからの時代に適合するのではないだろうか。流行ばかり追い求めたら疲れるもんね。

はぁ、価値観の押し付け… きもいブログだ…



  1. 2012/09/10(月) 17:01:45|
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衛藤ヒロユキ/がじぇっと

衛藤ヒロユキ/がじぇっと

僕の大好きな漫画を紹介します。しかし僕はそれほど漫画を読むわけではなく、むしろ大方の漫画を処分してしまったくらいで、こんな僕が漫画について何か書けることがあるのかと疑ってしまいます。しかしその中でも今日紹介する衛藤ヒロユキ氏の漫画だけは全て手元に残していて(超初期の作品以外はフルコンプ!!)、小学校ではじめて読んで以来今に至っても大ファンなんです。彼の代表作といえば魔方陣もとい『魔法陣グルグル』で、僕と同世代の人はアニメもやっててドンピシャなはずなのですが…これが本当に傑作で、今読み返しても本当に面白い。現在はガンガンオンラインにて魔法陣グルグルのスピンオフ作品『舞勇伝キタキタ』を連載中。あの伝説のキタキタおやじが主人公なんです。ギャグの切れ味抜群の快作です。

置きはこれくらいにして今日紹介するのが『がじぇっと』という作品で、時系列で言うと魔法陣グルグルの後期(2004~2005年)とダブるように連載されていた作品で、絵柄もこの頃のグルグルと酷似しています。ネタバレ的なことはしませんが、簡単に概要を説明すると、中学生同士の恋愛(はぁ、もう書くの疲れてきた)を主眼に、意志を持ち成長する機械(がじぇっと)や周囲の大人の人が絡むラブコメ+ファンタジーといった感じの作品で、ラブコメ的要素とファンタジー的要素がお互いを邪魔することなくとても有機的に絡み合っていて、完全に衛藤ワールドです。独特のメルヘン的な世界観、他の人とは切り口が違う前衛的なギャグ(この作品ではその要素は薄いけど)、随所に漂うサブカル臭、魅力を伝えるのは僕の語彙では難しいけど、色んな要素がおもちゃ箱の中のようにごちゃごちゃに詰め込まれてるようでホント独特です。そういえば「グルグルはコマの集まり」という衛藤氏の言葉を見たことがあります。まさにその通りで彼の漫画は一コマ一コマ切り取って眺めてても充分楽しめる。

少し脱線しました。さっきラブコメ+ファンタジーって書きましたが、舞台は東京なので現実的な問題も盛り込まれており、それが中々リアルで痛々しいんですよね。恋愛以外の中学生的な問題、街での出来事などがそれに当たり、より話を身近なものとしてくれます。懐かしさというか、何というか…(涙)

少し残念だと思ったところもあり、それはラストに近づくと話が高速に展開していくところで、恐らく打ち切りに合ったのかもしれませんが急展開で雪崩れ込むように話が終わってしまうところがあり残念です。勿論それによって得られるスピード感は中々気持ち良いという側面もあるのですが…

さっき「随所に漂うサブカル臭」と書いたのですが、サブカル好きにはぜひ読んでもらいたい作品です。衛藤氏のサブカル趣味が全開なのはグルグルで、例を挙げたらきりがないので音楽について取り上げると、グルグルでは、ジュリアナテクノである「T-99/Anasthasia」や、ラッパーLL COOL Jやその代表曲Rock the bell、ヒップホップの祖と言って良いGrandmaster Flashなどをキャラクターの名前や地名に冠してみたり、レアグルーブやブレイクビーツにも造詣が深いということが垣間見れます。実は漫画書く前に音楽ライターをやっていて、DJでもあったというから当然ですね(衛藤氏がDJをしているところはYoutubeやニコニコ動画で見ることが出来ます)。がじぇっとでは架空のロックバンド「ロケットガールズ」が話に関わってきますし(Tahiti 80って書いたTシャツ着てる子いるし…)、ファッション方面でもレプリカジーンズやHTCのベルトなど、美術においてもイタリアの未来派について言及があったりと盛り沢山です。楽しめます。

と、このように作品の内容よりもその付随的なことばかりだらだら書いてしまいましたが、僕の他人にオススメできる数少ない漫画です。書店などで見かけたらぜひ覗いてみてください。


  1. 2012/09/10(月) 16:55:04|
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